意外と早かった

NHKのEテレで今年の春から始まったアン・シャーリーをずっと視聴している。早いもので来週はとうとう最終回、各話の感想はツイッターで呟いたりつぶやかなかったりしているけど毎週ほんとに楽しみに見てます。OPEDの絵コンテと演出が我らが山田尚子氏なのですが、小さな動きが細かくて全体的に色彩が華やかで世界観がよくわかるしキャラが立っててワクワクする。毎回飛ばさず見ちゃう。OPで好きなシーンはマシュウに連れられて馬車で喜びの白い道を通る時に降る花びらと、ギルとのダンスです。OPを飛ばさないアニメはいいアニメ。
「赤毛のアン」は幼少期に母親から本を与えられたくちなんだけど、物語は勿論のこと村岡花子の訳が自分の感性にぴったりハマって大好きだったので、今回の新作アニメが村岡訳を原案にしているのが本当に嬉しい。あまりにも時代錯誤な設定や古風な言葉遣いは端折られたりだいぶマイルドになってるけど。
かつての名作劇場版は「赤毛のアン」だけで丸一年(50話以上)かけてものすごく丁寧に作っていたのに対して、今作は続編の「青春」「愛情」を含んでの2クール24話。当然かなり駆け足で当初はだいぶ酷評されてて心配だったけど、それでもずっと見たかったシーンや聞きたかった会話が原案に忠実にアニメ化されていることに毎話毎話とても感動している。
先週の回で親友のダイアナが結婚しちゃってあまりにも人生のスピード早すぎない!?と思ったけど、21歳で結婚なら現代の感覚的にも普通(ちょっと早いくらい)なのか。でも二人が出会ったのが11歳だから、たった10年で親友がお嫁に行っちゃったと考えるとやっぱり早いよなあ。アンは大学在学中だから余計にさみしいだろうな。
大人になって読み返すたび印象や感想が違うけど、新作アニメを見るようになって改めて気付いた、アンの物語は「自分が成長する度に周りの人間関係が変化していく」ことをしっかり描いているんですよね。子どもの頃は年齢も±5歳くらいまでなら一緒くたの学校で、家と学校が世界のすべてで、一番近くに住んでいる子が親友。15~16歳で地元を出て進学して同じくらいの成績の同級生と親交を深める。18歳で大学に進学してより聡明な友人を得たり恋人を作ったりして知見を広げていく。
私は中でも「愛情」に出てくるフィルが大好きで、彼女はお金持ちで容姿に恵まれてチャーミングで頭が良くて自分の恋人も決められないくらい優柔不断で、でも本当の愛にお金は不要なこと(まあそれは綺麗事だけど)を知り、最後に自分にとって最高の幸福を掴むんですよね。進学せず家庭に残って同郷の男性と恋に落ちて結婚してすぐに母親になったダイアナとまるで正反対なんだけど、アンの中ではどちらが上ということもなく、同じくらい大好きな友としてずっと大切に付き合って行く。
それって現実には難しいことだよなって思う。人はどうしても同レベルの人間と友好関係を築き、フィールドの違う人間とはやがて疎遠になるものだから。
恋愛においても、アンは子どもの頃から一途に愛してくれる幼馴染みギルと最終的に結ばれるけど、現実には彼の求婚を断ってお金持ちの色男を恋人にしちゃった時点で愛想を尽かされると思うので、やっぱりこれはフィクションだなあと思う。その上で、だからこそいつ読んでもずっと世界が美しいままなのだと思う。
高級住宅街にあるパティの家で、気の合う友人4人+お世話をしてくれるおばさん+猫3匹で暮らした2年間、めちゃくちゃ楽しかっただろうなあ。大学生時代のあの、受験勉強から解放されて親に学費も生活費も出してもらって好きな勉強だけしてたまにアルバイトしてワンルームのマンションでだらだらずっと自由でなんの責任も持たなくて良かった日々。幸せだった。まあ今あの頃に戻りたいかと言われたら別にもういいんだけど。

赤毛のアンの村岡花子訳は私の二次創作の地の文においてめちゃくちゃ影響うけてるからこれからも何度も読み返すけど、新作アニメを作ってくれたことが本当に嬉しく有難い。最終回の放送が終わったら感想とお礼メールを出そうと思う。できれば続編の「アンの幸福」「アンの夢の家」も何らかの形でやってくれないかなあ。アン・シャーリーの作画でレスリーのキャラデザ見たいよ~。